経理OL1.【支払い日はダイエット】
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よもやま話
tomoe エッセイ
2024-02記述
X.良い子・悪い子・普通の子
=渡辺智恵がOLだった頃の話=
OL5年目。所属していた「会計課」で手形管理を任された。約束手形を発行し、領収証と引き換えに支払先の集金係に手渡すという業務。 会計課は部長・係長・女子社員4名の合計6名の机が、ひとかたまりに配置されていた。私の席は、端っこのカウンターの一番近くに置かれた。
手形の発行は面白い。ロール型の機械でバチバチと金額が立体的に刻まれる。パソコン環境が進んだ後は、手形用プリンターが導入されたが、手形管理を完全に任されて楽しかった。 支払日以外は・・・。
名証一部上場の会社。1回の手形発行枚数は20件以上X月3回の支払日があり手形を手渡しする。
支払日の午前9時から午後5時まで、まちまちに集金係は訪れる。一定時間を決めてくれれば、短時間で済むのだが、就業時間までの約7時間いつ来るかわからないお客様を待ち続ける。受付業務のように、お客様にまっすぐ向き合い、待っているわけではない。カウンターに横向きの机で会計業務をしながら待つのだ。正直「待っていない」「来なければ良いのに」と思って仕事している。
高校時代スポーツ好きで、動き回っていた私がデスクワークのOL。腰の筋力が落ち「腰痛持ち」に。何度も立ち上がるのが苦痛だった。
月3回、それを繰り返すうちに不満が募り始めた「後輩が座ったまま作業に集中してるのに、なぜ私ばかりが、立ったり座ったりを繰り返さなければならないのか?」。いらいらが募り、笑顔がなくなり、訪れるお客様をにらみつける始末・・・。「笑顔だけ」が取柄の私から笑顔が消えていく。「どうしたら??」「業務を変えてもらうよう訴えようか?」「でも、手形を作るのは好き」・・・・そんな時ふと思いついた。
私は最近、太り始めている。もともと「小太り」の私が、これ以上太ったら「デブ」と言われる。その恐怖は、立ったり座ったりの不満より増していた。
そして、この立ったり、座ったりは、ダイエットになるのではないか?「支払日はダイエットデー」そう思うようになったら、支払日が楽しくなり始めた。慢心の笑顔でお客様を迎えられるようになった。 支払日の感情が180度、変わった「もっと集金係の人数が増えれば良いのに」とまで。よくここまで変われるものだと自分に感心した。 私の機敏な立ち上がりと笑顔は評判になり体重はダウンすることは、なかったがボーナスはアップ。 その後退職するまで、この業務は手放さなかった。おかげで、いまだに、億単位の金額までは、領収証に貼るべき印紙代の金額が瞬時に出てくる自分に笑える。 2024-02記述
ep7「30年来の謎」に続く
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