=伝えること=
私の勤めていた会社は、紡績業から始まり商社と製薬会社に発展した愛知の会社。所属は紡績本社経理。昭和初期のしっかりと作られたレトロな歴史あるビルだったが時代の流れで取り壊され、新社屋が建てられることに。その頃私は中堅OL。仕事熱心な「良い子」でもあったが、誰であろうと「モノ申す」ずうずうしい「悪い子」OL。しかし上司は、面白がって友達のように接してくれて何かと用を任された。 新規ビル移転後、取引先の銀行や商社からのお祝い品整理の手伝いに呼ばれ、応接室などに飾る物を選ばせてもらった。面白いものであふれていた。中には以前のビルの古い品も含まれている。捨てるように渡された古い額縁は使えそうなので許可を得て持ち帰った。それは、有名銀行から贈られたA3サイズの【金のなる木の図】だった。中身を趣味の写真に入れ替えようと思っていたところ、母が「そのまま欲しい」と言う。母は家相や風水に興味はない。しかし何を思ったのか東向きにかけるのが良いと言い、狭い借家の中心あたりの西壁高くに飾られた。それからの渡辺家は、順調に皆が健康で働くことができ、お金も少しづつ貯蓄出来るようになっていった。「自分の家が欲しい」と、言い続けてきた母は、それから数年後、中古の家を購入する目安を立て始めていたが、兄が借金を背負ってくれることになり、新築の少し大きめの家を購入する方向に。お金や財産に執着がなく、家もいらないと思っていた父は「晴天の霹靂」。余生は貯金で全国を旅したいと思っていた父は大反対。自分は引っ越さないと踏ん張っていたが「一緒に引っ越してほしい」と今まで父親に逆らったことがない兄が頭を下げ頼んでくれた。(私はその場面を今も忘れない、まるでドラマを見ているようだった)さすがに父も折れ家族皆で新築の家に引っ越した。新築の家で一息ついた頃、母が「この額物をかけた頃から、お金が溜まるようになってきた」と、借家の西壁に飾られていた【金のなる木の図】をしみじみと眺めていた。あらためて私も眺めてみた。良い事が書いてあるようだが「変体仮名」で書かれていて内容は、よくわからないが、お金は貯めたかったので、この事業を始めるとき自分の部屋にコピーを飾った。お金は今だ溜まらない。30年以上意味もわからず「コピーは効果無し」と思いこみ放置。しかし、つい最近この話を同僚のYさんにしたら、ネットで調べてくれた。なんと「徳川家康様」のお言葉であった。30年来の謎がやっと解けたその日は「変体仮名」を読むことが出来た父の命日。父に戒められた気がした(笑)。2024-02記述
参考URL:徳川家康【金のなる木の図】
徳川家康
一つ目の枝は「よろずほどよ木」・・・すべてほど良き
二つ目の枝は「しょうじ木」・・・正直
三つ目の枝は「じひぶか木」・・・慈悲深き
細川忠興
C「あさお木」・・・朝起き(朝早く起きる)
D「いさぎよ木」・・・潔き
E「しんぼうつよ木」・・・辛抱強き
F「ゆだんな木」・・・油断なき
G「かせ木」・・・稼ぎ
H「ついえな木」・・・潰えなき
(疲弊し形を崩さない)
I「養生よ木」・・・養生よき
(病気にならないよう健康を保つ)
J「かないむつまじ木」・・・家内むつまじき(家族が仲良くする) 最後にそれを見た家康は、「この木を守れば、富を得られ、末長く繁盛するであろう」といい、家臣に対し帰ったら家の者にも伝えるよう命じた。
緑文化普及協会
〒470-0113 愛知県日進市栄2丁目604「てるかガーデンデザイン」内
TEL:0561-72-7787
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よもやま話
tomoe エッセイ
2024-02記述
緑文化が出来ること
X.良い子・悪い子・普通の子
=渡辺智恵がOLだった頃の話=
経理OL 2.【30年来の謎】