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これまで、緑があれば、 CO2の吸収に役立つとだけ思ってきた。土壌の中のCO2の事は、あまり考えてこなかった。確かに、生きた土が、植物を元気に育てることは、肌で感じてきた。通常の地面の緑化や庭を作るときは、化成肥料や農薬を避け、土壌に堆肥やもみ殻燻炭を、漉き込んできた。微生物が影響していることは、何気に感じていたが、農家の話の本などの従来農法では、土壌をかき回す「天地返し」が必要だとあり、その方が微生物の作用が生かされると思い込んでいた。だが、なんと、それは間違っていた。土の中の微生物の住処を崩すことになることに、気が付いていなかった。微生物に住処(根圏)があることも・・・。
 そして、根の中の微生物と根の共存にも、気が付いていなかった。植物の根が土壌にあることで、微生物も生きられ、そして、植物も育つという、共存体であるということも・・・。
 自然農という言葉は、知っていた。化学肥料や農薬や除草剤を、使わないだけの事だと思いこみ、土壌をかき回してきた。体力の限界まで・・・。
 そういえばこの仕事を始めた頃、マザーポットに植え込んだ「さつき」は、土壌改良が出来ないので、ダメもとでポットの足元に「生ごみを堆肥にしたもの」を乗せたことがあった。小さな場所の上に乗せるだけでは、たいした効果は得られないだろうと思っていた。が、数か月後、傷んで黄色くなっていた「さつき」は、緑色の葉をふさふさと、つけ始めた。その時も、まさか、あの「労力も要さない施肥」が効果をあげていたとは思っていなかった。しかし今思えば、化成肥料だけの時とは違い、目に見えて「さつき」が生き生きしてきたことは、覚えている。
 最近「カーボンファーミング」というTVを見て、「目からうろこ」。その後、関連本も読みまくった。
土壌の「根圏」を残すことで、植物が吸収したCO2を土の中に固定する。そして従来の土をかき回す工法は、CO2を排出するばかりだという内容。
 本当の自然農(無農薬・無肥料)の世界を知った。
 長い間、土壌の天地返しや、何も植えず、土壌を休ませることや農業は、すべて「地球に良いことをしている」と思い込んできたことが悲しい。
 世界中の「化成肥料漬け」の大規模農家達が、大気中のCO2を大地に戻してくれれば、未来は明るい。
 幼い頃眺めていた、収穫後の田んぼに、「レンゲ」が咲く美しい風景を、もう一度見てみたい。
 私も緑化を職業としているので、小さい面積ながらも、今後は、微生物の住処を意識し、少しでもCO2の回収をしていきたい。  2024-01記述
ep10「ゴミ処理問題」に続く
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